アユの一生
 

 アユは、最も美しい川魚
釣りに、食に人を魅了してやまない川魚
その生き様は、激しく、強く、そして1年で次世代に託すせつない川魚
私たちは、その生き様・生態を理解し、護り、育てたい

「写真で見るアユの生態と循環」
(写真撮影:依光良三)
      




11月〜12月に産卵場で生まれたアユの赤ちゃん(仔魚}は、暖かい海に下り、
プランクトンを食べて成長し、2月中旬〜4月末にかけて稚アユとなって河口から
物部川に戻ってきます。ダムから上流には上れませんが、途中の農業用水の取水堰、
とくに、統合堰(町田堰)から上れないアユも少なくありません。初夏から秋口にかけて
ナワバリを持ちます。これは主食が石に付着するコケだからで、1m四方くらいのナワバリ
に他のアユが入ってくると、背びれを立てて追い払います。友釣りはその習性を利用した
釣り方です。その他のナワバリをつくれないアユたちは群れアユとなって集団で行動します。

晩秋になると、最下流の産卵場に下り、次世代につなぐための最後の営みが行われます。


  稚アユ−若アユ(春〜初夏)

 稚アユのそ上  春先に海から川へ


 上流をめざし堰にいどむ若アユ


 
群;れアユ ともに行動しながらエサ(石に付着したコケ)をはむ     群れるアユをねらう毛ばり釣り


盛期のアユ(初夏〜夏)




  

背びれを立てて威嚇しながら、激しいナワバリ争いを展開する
友釣りはこの習性を利用した漁法
        


落ちアユ(秋〜初冬)

 山々の紅葉とともにアユは河口近くの下流に集結する

  
      産卵の営み〜 次世代にいのちをつなぐため、必死に産卵に励み、最後の命を燃やす

 産卵場見学に訪れた小学生たち


  天 敵  自然界の営み

夜行性のナマズは、石の間で眠るアユなどの大敵 ナマズ同様にウナギも夜アユなどを食べる、

外来魚のブラックバスも小魚ハンター ニゴイも、アユの群れを追い回し、捕食する


 鳥の中で最大の天敵は川漁名人のカワウ
カワウがアユの群れを襲う時には、岸側にシラサギやカラスがパニックになって近付いてくるアユを狙って集まる


 
    落ちアユをいただくシラサギ         夜の狩り アオサギが捕食したアユをうらやむゴイサギ(右)


 
 春先、南の国から渡ってきたコアジサシ(絶滅危惧種)    巧みに稚アユをねらう


 タカの仲間のミサゴ(絶滅危惧種) 落ちアユなら狙える

最大の天敵は、なんと言っても人類
 大型の川魚や鳥たちもアユの天敵として、そ上してきた稚アユが成魚になるまでの間、あるいは警戒が薄れる落ちアユの時期に相当食べられる。けれどもなんと言っても最大の天敵は、ダムなどで川を寸断し、川を荒廃させ、また、排水・濁水を流し、棲息できる環境の著しい悪化を招いてきた人類という「生物界の化け物」であろう。近頃は、地球温暖化も招き、気温上昇によって産卵期が遅らされ、さらに海も磯焼けやら、栄養の貧困化や、濁水の蓄積やらもあって仔魚が海で育ち、川へ回帰できる比率も落ちてきている。アユにとってほんとに住みづらい世の中になった。やがてウナギ同様、自然界では減少の一途をたどり、絶滅危惧種にならないように、その循環系を守っていかなければならないのも、やりたい放題やってきた他ならぬ人類の責任である。

環境保護とアユ資源管理が必要な時代
 現代文明下の人類は、とくに、20世紀の後半以降、アユの生息環境を徹底的に破壊してきました。生態系循環が著しく細った中で、私たちができることは、生息環境をできるかぎり改善ないしは復元すること、そして、解禁・禁漁(時に落ちアユ禁漁)など適切に管理することである。「天然アユを保全すること」、アユの生態循環系を最大限維持・再生することが、環境破壊と冷水病禍で、私たちがなすべきことと思う。