流域の環境保全
 

物部川流域は、源流から下流、河口に至るまで多大な環境問題に直面しています。
ここでは、森・川・海のつながりの中で、河川環境をめぐる諸課題にふれます。   


08年3月中旬
物部川河口周辺に稚アユが集まっています 

 
県下全般に天然アユのそ上が深刻なほどに悪い中で、物部川では少しそ上が見られ、海にもまだ、待機しているとなれば、期待できるのですが、問題は二つあります。一つは、あまりに水量が少なく、本流にはわずか毎秒1トンの水しか流してもらえないことで、そのため河口閉塞が常態化していることです。国交省は開削してくれていますが、ただ、川の水量が極めて少ない時は、すぐ閉塞します。今回の増水でこの点は緩和されました。
 第二は海でのシラス漁が盛んなため、試験採穂の結果から見て、稚アユも混獲されていると推測されるいうことです。最近、シラスが良く獲れることもあって数十隻の舟が河口を含む沿岸部でバッチ網漁を行っています。川にのぼれない時期が続きましたので結果的に稚アユも混獲され相当減少しているものと思われます。
 冷水病にも強く本来の生態系・循環系を守るためにも、天然アユのそ上に全力を尽くすべきです。そのためには、河口が閉塞しない程度の水がそ上期には常時必要です。国が昨年決めた「生物多様性国家戦略」、そして国交省の本流の維持流量の有るべき姿、「多自然川づくり」等、川の循環への配慮が無視されがちな物部川。
 これまで、全国のモデルとなるような活動を展開し、必死に頑張ってきた「物部川漁協」そして全国に広がっている物部川方式も、本家では風前の灯火になりかねません。 困っているときには、適切な対応・協力が望まれます。 

最悪の環境の中で、清流と漁場を再生するための条件
 @自然の復元力
 A行政・国民による再生活動(災害復旧事業)
 Bそして、流域の人びととの連携と熱意と行動
「環境の時代」の内実とは何か。うわべの文言ではなく、
次世代に向けて実体をもたせ、本物の清流を引き継が
せたい、そんな思いで、編集したものです(依光)

         〈 目  次

T 2006年物部川危機問題と再生への取り組み
 1.物部川のアユ漁獲量に見る危機的状況の現段階
 2.2004、5年の集中豪雨災害の爪痕
 3.別府地区に見る上流の清流再生

 4.物部川漁協の清流再生活動への取り組み

U 物部川の清流環境を巡る長期的・構造的問題
 .物部川の環境をめぐる歴史と現状
 2.水源の森・緑のダムの現状と課題
 3.ダム問題を見る―深刻化する環境破壊の側面
 4.利水と川の生態系―犠牲になる本流
 5.〈補論〉ダムが関わってもたらされた損失と対策考

V 物部川の清流再生への道
 1.再生目標
 2.再生対策

〈補論〉・資料編
 1.「物部川方式」への歩み
 2.物部川漁協独自の環境改善に向けての取り組み
 3.新聞報道資料―「ひとときの天国から地獄へ」

代かきと濁水問題
 3月下旬から4月末までは、田植えの時期。そのため、農家は用水路から水田に水を引き込んで代かきを行う。
そのとき、濁水が流出しないような措置をとってもらえばさほど濁らないが、現実には代かき中濁水を流し放しの農家が多い。
それらが集まって、物部川本流に出会うところ(下の写真)では猛烈な濁りとなる。この問題点は、本流の水量が減ったとき、
本流の濁水を招き、アユそ上の阻害や冷水病の発症の引き金になり、沈殿したドロはアユ等の味をまずくする。
 今年は、物部川土地改良区連合が香南ケーブルテレビで、そして山田堰井筋土地改良区が車の放送で、濁水を流さないよう
自主的に呼びかけてくださったが、まだ、個々の農家に浸透しておらず、今年も濁水が流れ込んでおります。
なお、最も濁水の濃度が濃く流れ込むのは、物部川橋際の「せせらぎ水路」と河口近くの「後川」です。

物部川橋上流右岸側の「せせらぎ水路」から流れ込む農業用水路
からの代かき水
濁度900mg/Lもの猛烈な濁水が本流に流れ込む
物部川橋から下流. 漁協は本流に流れ込まないよう左岸沿いに誘導
漁協は、物部川橋から新物部川にかけての
ヨシ原に濁水を誘導し、大幅に浄化が進む
新物部川橋の下流では、大幅に浄化された
農業用水の水が本流に流れ込む

昔は循環型の水利用だったため、さほどの濁水はでなかったが、効率追求の農業構造改善事業・ほ場整備によって
いわば、用水路が上水と下水に分かれ、それぞれが下水に濁水を流す仕組みとなった。そのため濁りが増幅。
しかし、代かきの時、水田から流す水を止めれば、容易に防げる問題だけに、農家の方のご協力をお願いしたい

物部川の限られた水を使い捨て・排水するのではなく、循環と節約によって、濁水を出さないことを切望します。

土佐山田から漁協事務所近くへ流れ込む水田からの代かき濁水(4月8日)

農業排水路からは濁水だけでなく、ビニールや雑草も流される(4月26日)


(以下工事中〜順次ふれていきます)