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釣り師のコラム
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Vol.1
日本最後の清流から鮎が消えた!
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1998年8月
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今年の5月初旬、鮎解禁を心待ちにしていた鮎師たちの第一声が「四万十川に鮎が帰ってこない。」なのです。鮎はその遡上時期には、稚鮎が何キロにも及ぶ帯となって川を遡上するものです。しかし、ここ数年毎に遡上鮎は減少し、ついに今年は稚鮎を確認することさえ出来ない状態になってしまったのです。
四万十川といえば悠久の大自然で訪問者を包み込み、川面に立つものには心の奥にある懐かしさを思い起こさしてくれます。それゆえに、この川を多くの人が母なる河と呼ぶのです。奥深い山々と悠々と流れ行く清流は、見た目には太古の姿をそのままに時を重ねているかのように見えるのものです。その滔々とした流れは「日本最後の清流」と呼ばれるのもうなずけなくはありません。
それなのに何故、鮎は戻ってこないのでしょうか?
水質が悪くなった、海水温が高いため稚鮎が死んでしまったなど、様々な原因があげられています。そして、確実に遡上鮎は減少の一途をたどっているのです。谷口順彦著、「土佐のアユ」の中でも近年の漁獲高の減少について記されていますが、今年の減少は過去に例を見ない程のものになりそうです。
水質や環境汚染の問題に対し、高知県内では清流保全条例を発令して大がかりな取り組みを行っています。しかし、それでも減少は止まっていないのです。
環境問題以外に遡上鮎減少の原因があるとするならば、現在では規制されていない捕獲量についても考えなければならないのではないでしょうか?つまり、四万十川が再生できうる生産量に対する捕獲比率の過剰を真剣に検討する時期に来ていると思うのです。数々の死滅動物たちの原因を探るとき、環境適合性だけでなく、希少価値や私欲を求めるが故に、人為的に滅ぼしてしまった現状を、忘れてはならないのです。
高知県下の各河川に遡上してきた魚介類、甲殻類に対しての大量捕獲漁法及び漁具は発達し、技術は発展するなかで逃げ残る個体はどれだけいるのでしょうか?あの広い海でさえ捕獲制限が行われている現状を考えると、河川の限られた範囲での捕獲は根こそぎと言う言葉が当てはまるのではないでしょうか?
カナダや北欧では遡上鮭を守るために、河川を縦に3分割してその1分しか捕獲許可が出ず、河川に遡上するもの、産卵後に力つきたものに対してもこれを捕獲せず、河川に住む他の水生動物の為に残すという方法が取られています。そのことによって太古からの自然サイクルを守ることが出来るのです。
四万十川をはじめ各河川についても減少するアユに追い打ちをかけて取り尽くすよりも、限りある資源である河川価値を守り、群れ遊ぶアユを終年残すことが出来たとすれば、本来の自然サイクルが甦り「清流」と呼ぶにふさわしい川の姿に戻るのではないでしょうか?
四万十川は、流域の人々にとっても、遠来から訪れた人々にとっても、”心のふるさと”であることには代わりがないのです。そのふるさとに昔の清流の姿を取り戻すことが出来れば、この地を訪れる人はもっと多くなるはずです。
今こそ自然のために残すべき数量を確保していく努力が必要な時期に来ているのではないでしょうか?
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