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コラム

SUNNYVALE からのひとりごと
Vol.25  給食を食べてらっしゃい!は殺し文句 2002年1月

去年の9月11日から書くという行為が全くできなくなってしまった。こうしてアメリカで感じたことを書く場を与えていただいているのにもかかわらず、気持ちだけ書かなければと焦るだけで、一行も書けないでいた。

今年は長い短いにかかわらず、もっと肩の力を抜きながら、なんとか1ヶ月にひとつずつ、エッセイをお送りしたいと思っている。

去年の夏、私と子供たちは日本に一時帰国して、夫の実家から公立の小学校へ体験入学させていただいた。夫の兄夫婦の子供たちも同じ小学校に通っていることもあり、子供たちは早く馴染むことができ、また、アメリカから来たということで、先生方にもいろいろと目をかけていただいた。

子供たちを送り出す朝はアメリカと同じようにとても忙しかったが、私はひとつだけアメリカにいるよりも楽をさせてもらった。毎朝のお弁当を作らなくてよかったからだ。

子供たちはというと、月ごとに配られる給食の献立を見ては、好きなメニューが出ている日が来るのを楽しみにしていた。
中には、「インド煮」なんていう私の知らない料理まであって、学校が終わった後に、今日何が給食に出てきたのか子供に尋ねるのも楽しかった。
そして、やはり季節感を大事にする日本人だからだろうか、七夕には特別メニューが用意されていて、デザートには「天の川ゼリー」などという可愛らしい名前がついたゼリーも出るようになっていた。
この七夕メニューを是非食べたいと心待ちにしていた娘は、七夕の当日、発熱のために学校を休まなければならなかった。赤い顔をして布団に横になっている娘は、それでも諦めきれないのか、「天の川ゼリー……」と呟いていた。

TURKEY TACO POCKET ターキー タコ ポケット
CHEESE PIZZA チーズ ピザ
CHEESE NACHOS チーズ ナチョス
CHICKEN NUGGETS チキン ナゲット
TURKEY SANDWICH ターキー サンドイッチ
MINI CHEESEBURGERS ミニ チーズバーガー
CHEESE PIZZA チーズ ピザ

さて上記の言葉の羅列は何かというと、アメリカの公立小学校で出るランチのメニュー七日分だ。
今まで見てきてわかったのは、五日に一度はチーズピザが出ること。それから、このメインメニューの他に、果物と牛乳かジュース、クッキーがつくことだ。
日本の学校給食と比べたら、なんとお粗末なものか。日本人の感覚なら、これはお昼ご飯ではなくておやつだと言えるのではないだろうか。

しかし有難いことに、このメニューのランチを購入することも、家から作ったお弁当を持ってくるのも自由となっている。
子供たちは「絶対にお弁当にして」と口を揃えて言う。
その理由を聞いてみると、ランチを食べている子供からピザなどを一口わけてもらって、その味つけに驚いたらしいのだ。アメリカの料理は塩辛い。そしてクッキーなどの甘いものはとても甘ったるい。家庭での味付けと全く違っているため、口にあわないらしい。
また、同じメニューが繰り返されることにも抵抗感を感じるようだ。

毎月印刷されたメニューを見ながら、こういうメニューだけを食べているとすぐに成人病になってしまうのではないかと考え込んでしまう。

何が美味いか不味いかを感じられる能力は、もしかしたら家庭の料理が根底にあるのかもしれない。どんな料理でも、コクや旨みというものが根底にある。それがなければ、やはり不味い。その美味さを感じられる舌というのは、美味さを経験していないと得られないのかもしれない。

まだ鰹節や昆布の旨みをわかってくれる子供たちに、「悪い子だったら、明日は給食食べてらっしゃい!」と脅すのと、お握りをにぎるのが、私の日課となっている。



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