イソップ童話だっただろうか、鼠が猫の襲撃に備えて猫の首に鈴をつけようとする話があった。鼠たちは満場一致で賛成と相成るのだが、誰がその鈴を猫に付けるかの段になって案はご破算となってしまう。
新聞を見ていると、カリフォルニア州知事であるシュワルツネッガー氏が、片手に収まるぐらいの小さな楕円形のものを掲げて写真に写っていた。記事を読んでみたところ、どうやら性犯罪で逮捕された経歴を持ち、その後刑務所から出ている人に、その楕円形の物を付けさせるらしい。楕円形の物体は、GPSで、人工衛星を使って、その人物が地球上のどこにいるのか、即座にチェックできるというものであった。
以前、アメリカに住んでいた日本人から、性犯罪や家庭内暴力で罪を犯した人の玄関には、シールが貼ってあると聞いたことがある。それがどういったシールなのか、私は実際見たことがないのだが、そうやって周辺の住民に教えているということだった。
確かに、小学生が学校からの帰宅途中、いなくなるという事件はこちらでもたびたび起こっている。2年ほど前に起こった事件など、少女が、自分の自宅から、母親と兄のいる目の前で車に連れ込まれて連れ去られた。これはショッキングだった。被害者の少女は、犯人と冷静に会話を持つようにし、食事として運ばれてくる宅配ピザの箱の住所の走り書きから、自分がどこに連れてこられたかを把握し、最後は犯人の家を自力で脱出して、近所のリカーショップに飛び込んで保護された。
初めは実名で報道されていた少女の名前が、少女Aのような書き方になる。性犯罪が絡んでいる事件だとわかった時から、被害者の名前は隠されるようになる。こういう記事を読むと、子供を持つ親として、あるいは一度は少女期を過ごした一人の女として、暗澹たる気持ちになる。
事件が解決したとき、犯人が被害者の家の目と鼻の先に住んでいたり、あるいは、被害者の通う学校の近くに住んでいるということに驚くことがある。そのためか、去年は、警察が学校の始まる前の8月中旬に、学校の近くに住んでいる性犯罪の前歴者の顔写真や住所などの情報を、一軒一軒提示して回っていた。知っていれば、子供を一人だけで歩いて登校させるのを避けるという手段もある。私が住んでいる地域の警察は、刑期を終えた後の犯罪者の中で、要注意人物に関しては氏名、顔写真や住所などをWebで情報公開している。
再犯を繰り返す人の行動を、楕円形の小型GPSによって把握できるということは、一住民として有難いと思う反面、その機械を付けないでいれば、何もならないだろうと言う危惧も生まれてしまう。
さて、鈴はうまく付けられるのだろうか。
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