娘が8月からハイスクールに通い始めた。ミドルスクールでは外国語は選択性だったので、一切とらなかった。ハイスクールでは卒業するために外国語の単位を揃えなければならない。日本の高校だと、同じクラスならほとんど全員が同じ時間割で授業を受けるが、こちらの授業の取り方は日本の大学と一緒だった。自分の取りたいものを用紙に記入してオフィスに出すと、数日後に履修できる授業が印刷されて返ってくる。ショックだったのは、返ってきた用紙に、外国語の授業が入っていなかったことだった。1年生で外国語がとれなければ、2年生になってからの授業の選択肢が狭まってしまう。オフィスにかけあって、学校が始まってから10日も経った時点で、やっとスペイン語の授業をとることができた。
娘にとって、スペイン語の授業の第一日目は、スペイン語の嵐だったという。先生は、スペインの音楽を教室で流し、挨拶から、授業中の指示にいたるまで、全部、スペイン語で話したというのだ。先生は、イタリア系アメリカ人で、スペイン語を学ぶためにスペインのマドリッドに5年間住んで学校に行っていたという。英語の単語は一つも出なかったが、ボディーランゲージと、似通った発音を頼りに勘を働かせて、授業を受けてきたという。娘が入ったのは、スペイン語 1のクラス、初心者用のクラスだ。
ある日、学校に用事があって、オフィスで担当の先生を待っていたことがある。ちょうど、日本語を教えている先生のミーティングが目の前の部屋で始まった。
「雨が降るでしょう、というのはわかりやすいと思いますが、雨が降るもようです、というのはやはり難しいでしょう」
「ええ、まずは、簡単な例文から入ってから、特別な言い回しを教えないと、混乱しますね」
英語の訛りがあるが、先生は全員、日本語でミーティングしている。一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなってしまった。ここは、アメリカだったっけ。
日本で私が学んだ英語は、まず、読む、書く、ことだった。会話は、ほとんど学ばなかった。だから、こちらに来て、「平方メートル」「おしめ」「粉ミルク」「予防接種」なんて英語でどう言うのかもわからなかった。「とってください」「これください」も、知らない状況だった。
こちらの外国語は、まず、耳から入る。先生は、授業中は英語を使わず、どんどん外国語に生徒を晒していく。もちろん、単語のテストや、簡単な文章の作成、会話の練習もやっているが、まずはその言葉に耳を慣らそうとしている努力が伺える。
最近、英語だけではなく、スペイン語を会話に入れて楽しむ娘を見ていると、こういう外国語の学び方もあったのかと、目が覚めるような思いだ。お互いの言葉を勉強し、少しでも理解しようという態度が、この世を平和にしていく小さなステップになってくれたらと、願わずにはいられない。
来る2006年が平和で、みなさまにとって良い一年でありますように。
|