コラム「要約筆記と私」(著者 山崎 千加)

 

 6月のある日、高知新聞夕刊の伝言板の『仲間にどうぞ▼要約筆記奉仕養成講座の参加者を募集中』の文字が目に入りました。
「筆記」の言葉に引かれてはさみを入れ、手帳に挟みました。7月の講座が終わった現在も、まだ手帳にあり、大事にしています。思い出に取っておこう…と。

 未知の世界への挑戦(おっこうなと思われるかもしれませんが)であったから、切り取ったまま数日がたち、すぐには電話できなく、躊躇しました。でも、講座に参加すると、1日2時間半の講座は、耳にすることすべて真新しくあっという間に終わり、毎週土曜日が待ち遠しく、楽しく受講することができました。  

 講座終了後に、このまま終わって「これからどうするの? どうなるの?」と思っていた矢先、隣の下村さんに「かたつむり教室」を教えていただき、今度は躊躇なく2人で手を挙げ、見学を申し出ました。この日の「かたつむり教室」は「書道」で、見学ではなく、厚かましくも初めてのノートテイクの体験をさせていただきました。先生のお話が十分に難聴者の方に伝えられたのか、いまだに心配です。

 次に、介護保険の講演会のOHPの体験をさせていただきました、大胆にも。このとき、最後のまとめの大切な部分で漢字が出てこない。仮名で書けばいいのに、その切り換えができない。考えるうちに話しは先に、先に、進んでいくありさまで、講演会終了後には、落ち込んでしまいました。その日は、「やまもも」に大変な御迷惑をかけたということと、「もう私には要約筆記はできない」という落ち込み、興奮、緊張感とで、いままでにない疲労を覚えました。

 このころ、数年前に録画していた大好きな彫刻家佐藤忠良さんのTV番組久しぶりに再生したところ、母校(北海道の小学校)での粘土彫刻の授業の中で、でき上がった作品を前に、『上手になるためには、手紙を書くこと、汗をかくこと、恥をかくことだよ』と、ほほえみながら優しく教えられていた場面 が流れました。以前も聞いているのに、今回は全く違う響きで聞こえてきました。

 この佐藤さんの言葉に勇気づけられ、講演会でお世話になった正岡さんに、御迷惑も省みず、早速手紙を書かせていただきました。少し気持ちが落ち着き、その後の勉強会でも、正岡さん初め先輩の皆様からたくさん励ましをいただいて、「やまもも」を退会することなく、勉強会に出かけています。

 語り手の意を1文字でも、1行でも多く書き留め、難聴者の方に十分に伝られる要約筆記者にという望みを持っているのですが、私にとって要約筆記は、非常に難しく、至難の技となっています。耳にする言葉を速記文字にとらえていることを、要約してすぐに文字化するという切り換えができなく、いつも冷や汗と大恥をかいて、悩んでいる真っ最中です。この悩み、いつ解消できるでしょうか・・・・・・。

 10月後半の勉強会直後に、同期の仲間による「ひよこぐみ」が誕生しました。よちよち歩きで、自信を持って一人歩きできない”ひよこさん”の集まりです。先輩の皆様、どうぞご指導のほど、よろしくお願いします。